半額シール戦争~実写版ベントー リアル狼たちの夜~

私は20代の頃から、もう10年以上も”狼(オオカミ)”をやっている。

狼とは、人気ラノベ作品でアニメ化もされた「ベン・トー」の作中で使われている言葉で、全国にあるスーパーで半額シールが貼られた商品、いわゆる半額弁当などを奪い合う人たちの事である。

狼を10年もやっていると、色々な人や場面に遭遇するので、それなりに面白いこともある。

こちらの記事では狼の私が、今まで出会った狼たちやシチュエーション等を、

『~実写版ベントー リアル狼たちの夜~』

と題して、リアルな半額シール争奪戦について、今まで見てきた事をまとめたものである。

戦場

私の今の主戦場はここ、マックスバリューのお総菜コーナー。

ここではいつも21時頃に半額シールが貼られるので、その時間にはお腹を空かせた狼たちが集結する。

まずは、私とここで激戦を繰り広げている5人のベテラン狼たちを紹介しよう。

狼たち

(半額シールを貼る店員を囲む狼たち)

Aさん…ここの狼の最古参。ここに約4年間通っている私よりずっと前からいて、店員とも顔なじみの様子。店員や客によく話かけておりコミュ能力は高い。店員は仕事中に話しかけられるので面倒くさい客という印象を持っているのか、嫌がっているように見えるが、他のベテラン狼とは仲良さそうに話している。また最古参だが強引さはあまり感じられない。だが、半額シールの回収量は他を圧倒しており、後述する事前にカゴに入れる反則技をよく使っている。

Bさん…恐らく私と同じくらいの時期から通っている狼で、Aさんと仲が良い。よく店の外で煙草を吸いながら半額シールが貼られるまで待っていて、Aさんから「シールが貼られだしたよ」と声をかけられ参戦することが多い。

Cさん…売り場の前でシールが貼られるのを、なぜかいつも誰かと電話しながら待っている狼。1度会話が気になって近くで聞いてみたが、シールが貼られそうな商品を電話の相手に伝えていた。どうやら家族の人と話してるっぽい。また、電話していない時は独り言をつぶやいている。

Dさん…毎日ではないが、参戦頻度が多い狼。他の狼たちがシールが貼られるまで店の中をウロウロする中、Dさんは自分が欲しい商品周りを絶対に離れず狙いを定めている。常に見ているので狙いは分かりやすいが、Dさんに狙われた商品はもうあきらめるしかないというくらい強力な狼。Dさんが新人の頃には私もよくDさんが狙っている商品をとった事があるが、今ではDさんが狙ってるなら別のものに狙いを変えるか考える程、成長を遂げている。

Eさん…高齢の狼。Aさんと仲が良く、よく売り場前で雑談している。Eさんはそこまで半額シールにこだわっておらず、なかなかシールが貼られない場合は、待たずに20%割引シールが貼られた商品を手に取りレジへ向かう姿も見ることがある。

この5人が私の主戦場に登場するベテラン狼たちである。

そして、もちろんだがこの争奪戦には、この時間に半額シールが貼られる事をしっているベテラン狼だけでなく、たまたま遭遇した狼たちも参戦する。

初めてここに参戦する狼たちは、ガツガツ取りに来ないため争奪戦となった時は勝ちやすいのだが、狙いが分かりにくく、気を抜いていると突然取られるという事もある。また、基本的に店員の動きや何にシールが貼られるのかを把握しておらず、半額シールが貼られる直前の20%割引シールの商品を突然持って帰るという狼の皮をかぶった一般人という恐ろしい面も持つ。

戦闘

半額シールが貼られる前にすでに戦いは始まっている。

どの商品が残っているか確認し、消費期限を見てシールが貼られるもの貼られないものを見極め、狙いを定める。

あとは戦闘開始直前の位置取りが大事。

私の主戦場であるマックスバリューでは、半額シールを貼る店員は、半額シールを貼る機械が乗せてある台車を押しながら半額シールを貼っていく。

よって、店員の前にポジションをとってしまうと、台車が邪魔になりすぐに取れないのだ。

半額シールを貼る店員の後ろにポジションをとれる場所が一番有利となるので、ベテラン狼たちはその位置を虎視眈々と狙っている。

半額シールを貼る店員は、いつもベテラン狼たちに後を付けられ囲まれているので、夜に客が少なくなったスーパーでは明らかな密集地帯となっており他の客から見たら異様な光景である。

ベントーの作中では、店員が帰ったら戦闘開始となるが、現実ではそんなことはない。

貼られた瞬間からベテランも素人も関係なく争奪戦が始まるのだ。

開戦時間となる半額シールはだいたい夜9時頃から貼られ始めるが、日によって多少異なる。

把握している時間内に貼りだされない場合は、経験上あきらめて帰った方が良い。

前にシールが貼られるまで粘ったことがあるが、結局半額ではない40%割引シールが貼られたことがあったり、最長で1時間30分も待ったことがある。

狼の技

さて、ここで狼たちが使う技を紹介しよう。

まず狼たちが一貫してやっていることが、

「躊躇したらやられる、考える前にカゴに入れろ」

買おうかどうか悩んでいる商品にシールが貼られたらとりあえずカゴに入れて、考えるのは後でいい。

半額シールが貼られた商品がいつまでも残っているという甘い考えは捨てているのだ。

続いて、シールを貼っている店員の後ろにポジショニングし、他の人の手が伸びないように体でブロックするという技。これは私を含めてベテラン狼たちの多くが使う技で、店員と密着すれば密着するほど、手を伸ばしにくくなるので効果絶大。

後ろにポジショニングすれば、このように商品に半額シールが貼られた瞬間、すぐに回収できる。

このようにカゴも利用してブロッキングされると、もう立ち入る隙間はなくなる。

店員が動くルートを想定し、その一角で店員の後ろにポジショニングしやすい位置取りを事前にしておくという、欲しい商品一点狙いの動きもあり、これは上記でも紹介したDさんが得意としている。

続いて、店員が置いてある商品を手に持たずに、おいてある商品に直接シールを貼るときに使える技で、商品にシールがはられる直前にその商品に手を伸ばして触れておくというもの。前述したCさんがよく使っている技で、他の人が取ろうと意思表示をしている商品を横取りするのはかなりの精神力が必要となるため、この技を使われてしまうと奪取するのは至難の業。

半額シール前に”これは私の!”と準備されると、なかなか奪い取るのは難しい…

最後に、これは反則技と言ってもいい、欲しい商品をシールが貼られる前にカゴにいれて他の人に買われないようにしておき、シールを貼りだしたら、商品棚に戻すというもの。お店によっては注意される事もある。この反則技はAさんが多用しているため、恐らくお店側から嫌われている原因の一つになっている。またBさんも最近使いだしたが、Bさんはたばこ優先のためシールの貼りだし時間が遅くなった時だけ使っている。

店員

狼には様々な者がいるが、もちろん店員にも色々な人がいる。

中には狼たちを嫌っているのか、念入りに掃除をして中々シールを貼らない店員がいる。

なんと半額シール台車をもって出てきてから、総菜コーナーの前で30分以上全くシールを貼らずに掃除を続けた猛者もいるのだ。

(シールを貼る店員が出てくる扉、開戦の合図)

また、半額シールが貼られるのを待っているベテラン狼の存在を知っている店員は、狼が待つエリアをとばして、順番どおりではなくランダムにシールを貼っていく者もいる。

見ていて明らかに行ったり来たりして効率が悪いのだが、”私は従順にシールを貼るだけじゃない!狼に一矢報いたい!”という強い意志を感じる。

なので狼たちもその店員の時には、そのエリアに興味がない事を出来るだけ近づかない事でアピールし、早くシールを貼らせるという駆け引きをしている。

戦場ではベテラン狼たちとベテラン店員たちとの間で、このようなあまり意味のない駆け引きも繰り広げられているのだ。

前に若い店員が、「これに半額シールを貼ってくれ」と手渡しで渡された商品に対して半額シールを貼っていたが、それを見たベテラン店員が、置いてある商品にしか半額シールを貼ってはいけないと注意していたのも目撃したことがある。店側にも色々なルールがあるらしい。

また、稀にシールの貼り間違いをする者もおり、2本入りの巻きずしに1本分の巻きずしに貼るべきシールを間違えて貼っていて、2本入りを1本分の半額で買えたことがある。この時は嬉しさのあまりレジに向かう途中でスキップしそうになった。

私の主戦場は最大半額シールとなっているが、お店によっては、半額より大きな値引きシール、通称”レアシール”が貼られる場合もある。レアシールは滅多に見ないのだが、200円の商品が20円になっていたりと、元の値段設定はなんだったのだ…と思わせるものも存在する。

さて、ここまで私が日々体験しているリアルな半額シール争奪戦をまとめたが、いかがだっただろうか。

こんなに頑張っても数百円程度お得に買える程度で、もちろん時間効率・コスパは良くないが、半額シールというのはやはり買えるとお得な気分になるので、私は好きである。半額シールの商品を買うというのは節約とかではなく、すでに趣味の域に入っていると思う。

半額シール、割引シールについて気になる方はこちらの記事も参照にされたし。

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